毎日の通勤通学や週末の買い物など、JR津田沼駅と新津田沼駅を利用する皆様の生活はもちろん、地域に共生し駅前の象徴的建物として津田沼の一時代を支えた津田沼パルコが、令和5年2月28日をもって45年の歴史に幕を下ろしました。この津田沼パルコ閉店をきっかけに、今後津田沼では第二次地域再開発構想が進む予定?ではないかと思っています。
日本の一時代を飾った商業施設は、その存在意義から再生期を迎えた
昭和から各主要駅で消費者の生活を支えた全国の商業施設は、時代の移り変わりやビルの老朽化と共に、その存在も徐々に色褪せてきました。また1990年代前半からエスカレートした、大量生産大量消費という流通再編によるモノの低価格化から、使い捨てという選択肢が生活に浸透しました。
そこで収益率の低い大量販売、低価格競争、常にセールという企業間の訴求サービス合戦が始まり、実質無料やキャッシュバックなどのよくわからないポイントサービスの波が押し寄せ、モノやサービスに対する価格や価値への感覚が麻痺するかのような、平成の時代を過ごしました。
それと、買い物を駅前でするのが主流だった時代から、ECや郊外型SCへ一気に消費行動が移り変わり、百貨店離れやファッションビルへの価値観の変化などが進みました。そういったこの数十年にわたる時代背景と流れを考えれば、ここまで津田沼駅前に立ち続けてきた、津田沼パルコさんの45年という地域の歴史と、その存在は地域にとって大きな支えだったのではないでしょうか。
また、津田沼パルコを利用する利用しないだけではなく、このJR津田沼駅北口に降りたらどう目を逸らしても視界に入る、街のシンボル的商業施設の閉店ということに寂しさを感じました。閉館後のB館は、VIIT(ビート)という新たなショッピング施設がオープンしています。そして、これから始まる津田沼駅前再開発を、皆様と共に見守っていきたいと思います。
津田沼駅南口のモリシアも2025年にリニューアル、再開発へ
津田沼駅の南口にはモリシアという商業施設があります。この施設も2025年には建て替えの予定となっているようで、リニューアル期間は一時全館閉館するのではないかと思います。再開発には期待していますが、やはり大事なのは津田沼駅・新津田沼駅利用者だけではなく、周辺地域からの継続的な集客が課題ではないでしょうか。
お客様を呼べる魅力あるテナントをどれだけ誘致できるか、逆に企業側が出店したいと思う条件や購買層、また買い物に対する地元消費者の行動パターンとEコマースとの使い分けなど、様々な要素があります。その他にも、多くの諸条件が揃わないとリニューアルや仮に新しい商業施設になっても、持続性のある集客から継続できる収支バランスを維持することはとても難しい時代です。来客に関しては、平日はフロアにほとんど人がいない時間帯もあるので、夕方から週末に売上が集中する現象は続くことから、テナント集客のみではなく館全体のテナント配置も含め、可能な限りのアイデアやや知恵を出し合い、売上の安定化や平均化を考慮する必要があります。
コロナというパンデミックを経験し、世界情勢の不安定さを目の当たりにした消費者心理を考えれば、中規模から小規模商業地域の活性化や持続化は、ビックデータや人工知能に頼ったデータ分析以外の、人の感情を動かす人的誘導の導線も同時に考えないと難しいですよね。
今は郊外の大型モールや大型ターミナル駅以外で集客の厳しくなった商業施設は、出店企業側も慎重にデベロッパーを選定する時代です。また、催事契約などによる固定費契約ではなく、期間限定のスポット契約も増加してきたことを踏まえれば、常に閑散とさせないフロア作りに苦悩する場面も増えているはずです。
元津田沼パルコA館の次の施設への憶測
A館はタワーマンションになるという話があるようです。ですが、駅直結という超好立地を考えると、マンションだけにするには、様々な要素や条件が津田沼駅前という立地には勿体無い気がします。個人的にはコレド日本橋やオリナス錦糸町のような、衣食住を揃えた複合商業施設や、2022年亀戸駅で開業した亀戸クロック(旧サンストリート跡地)のような、商業施設とマンションの複合施設になるのが濃厚な気がしています。
駅前という好立地への勝手な憶測と理想論
津田沼駅前という立地は幕張メッセ、ディズニーランド、成田空港、それに東京都心部や千葉房総方面にもバランスよくアクセスのよい立地です。そう考えると、船橋シャポーのようにホテルとの一体型や、錦糸町の楽天地のようなスパとシネマ一体型、浅草ROXまつり湯のような温泉複合施設もありだと思います。
ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、都心型温泉施設へのチャレンジなんかもいいのではないかと思ったりもします。例えば、マイバスケットやチョコザップなどコンビニ型都市集約店舗と、地元飲食店さんとの共生も可能な、駅前日帰り旅行的なコンセプトも今の時代はありだと思います。これはSNSマーケティングの導線としてもいい感じではないでしょうか。
毎日の通勤通学帰りに、駅に到着したらまずはほっとする人の需要の方は多いと思います。また企業が集まりやすい要素の一つにすることもできます。また、これから津田沼周辺の高校、専門学校、大学を進路として選択する学生さんや、そのご両親が津田沼周辺の学校を選択する一つの決め手にもなるのではないかと思います。
これは地域の皆様をはじめ、他県や近隣地域からビジネス出張や観光、それと東京駅へのアクセスの良さで、津田沼駅や船橋・習志野地区周辺を利用する人が増えれば、地域の事業にもいい影響が出ますし、駅前のイメージがより好印象になり、事業が成長路線となれば船橋市、習志野市にも大きな経済効果が期待できます。
それと、全国の中小企業の営業所や飲食店さんなども誘致しやすくなるはずです。そういった駅前の賑わいが、地元を支える企業や飲食店さんの相乗効果にもなり、地域全体の活力になることにも繋がりますよね。
大型テナント誘致構想もあり?
もし高層マンション構想の場合の個人的な感覚としては、お決まり感も否めませんが大型店がワンフロアごとに入るパターンです。ちょっと周辺で店舗移転が起きそうですが、無印良品、LOFT、ニトリ、ダイソー、コメダ珈琲、紀伊國屋、カルディ、北野エース、それに食品売り場とレストランの構想もいいと思います。ど定番で安定感強めですが悪くはないと思います。
メガドンキは理想的?
駅直結メガドンキ構想もありですね。ちょっと賑やかな雰囲気がご年配の方々に合うかはわかりませんが、サイズ的にもメガドンキなら2フロアはゆうに使えるサイズです。ドンキは品揃えも豊富ですし、駅直結が効果を発揮し、そのまま帰りにドンキで買い物して帰るパターンとして、幅広い年齢層の方々に現実的な生活需要やリズムにハマるのではないかと思います。
津田沼駅前に千葉県の飲食・フード系企業が集まる?
感染対策など不要不急時の出前やデリバリーもそうでしたが、やはり食というワードは欠かせないので、あまり現実味はないですが地元の船橋、習志野、市川、幕張、八千代、松戸、鎌ヶ谷をはじめ千葉県内の飲食店さんやフード系企業で構成する、津田沼フードパークモールなんていうのも面白いのではないかと思います。
ただ、この船橋・習志野地域には近くに船橋ららぽーともありますし、幕張イオンモールやコストコなどの商業施設も揃っています。地域でかぶってくるとお客様が分散化してしまいますが、ららぽーとの場合はアクセスが電車で気軽にというよりは、車という選択肢も多いのではないかと思います。平日というよりは休日集客型施設だと思いますので、使い分けは可能だと思います。
飲食系の集合体は、SNSなどのPR・販促で確実に集客に繋げることができます。もし、ホテル併用の温泉施設が駅前にあれば、幕張メッセのイベントや千葉ロッテマリーンズの試合観戦、それから成田空港へも1時間程度です。これは多方面からアクセスの良い総武快速や総武本線、京成本線の各路線からのアクセスも見込めるのではないかと思います。
津田沼駅前はどうなる?イトーヨーカドー跡地はアリオ?または?
全国にある店舗の閉店計画を発表したヨーカドーさんですが、新津田沼駅直結のイトーヨーカドーさんも2024年9月29日(日)をもって完全閉店します。跡地についてはまだ未定のようですが、新津田沼駅直結というアクセスの良い立地を活かして、若い世代と地域の高齢者様のが集客できる融合施設や、同グループショッピングモールのアリオ(セブン&アイ・ホールディングス)のような形もよいと思います。
新津田沼駅駅直結を有効的に活用するなら、2階をフードコートにして導線を作り、地下は食品、1階はメディカルフロア、3階はマッサージなど身体のケアや健康関連、4階は生活雑貨やファッションなどを展開していくことで、平日と休日の需給バランスが取れるのではないかと推測します。
新津田沼駅は、線路を挟んでイオンモールとイトーヨーカドーが共存する、首都圏でも数少ない駅直結型商業施設のケースだと思います。これも次世代の皆様に津田沼周辺へのお引っ越しや、地域への定住化へ繋ぐ魅力の一つだと思っています。
課題は、来店客数や買い物一人当たりの購買単価の質が変化していることで、仮にリニューアルから数ヶ月はよくても、津田沼に周辺から人が集まりやすい環境づくりと、賑わいを演出する地域の共通認識可能な販促活動が大切です。
首都圏も今後さらに高齢化が進んでいる中、津田沼駅周辺でも主要商業地域へ小型無料送迎バスなど、商業施設への定期便駅前で買い物を楽しめるような仕組みづくりが、必須になるのではないかと思います。
津田沼ミーナ【mina】は?
津田沼には新津田沼直結のミーナもあります。ミーナは元々津田沼から丸井さんが撤退した後、その施設をファーストリテイリンググループ(ユニクロ、GUなどの運営企業)さんが運営しているテナント型商業施設です。町田や京都などにもありますね。
日本のファッションの価値観を変え、日本経済の流通促進を牽引しながらモノに対する固定概念を払拭し、グローバル化を率先してやり遂げてきたユニクロさんが、どのような方向に進んでいくのかによって、今後も日本の消費と経済の一部が変わると言っても過言ではありません。
ミーナは今後もファッションというキーワードを中心に、Z世代やビジネスマンが集まりやすいファッションビルとして、さらに活性化してもらえるといいですよね。通路が連携しているヨーカドーさんとは対照的な客層な商業施設で、新津田沼駅前の集客には欠かせない存在として、今後のミーナさんの動きにも注目しています。
LOHARUは現状路線か
津田沼駅にはまだ商業施設があります、津田沼駅南口にロハルという名称で2017年にスタートした複合商業施設です。ユザワヤさんや2フロアをほぼフルで展開している丸善書店さん、それからここは地域の医療が集まったメディカルフロアもあり、飲食店やスーパーなどバランスの整った生活色の濃いテナントさんが入っています。また建物自体もちょうどいいサイズ感なので、構えている感じがなくスッと入りやすい印象です。
感染対策がフェードアウトしていく中で、今後の消費者の生活リズムに津田沼駅前での消費や購買が、前向きな動きになっていくことを期待しています。そのためには各テナント施設の近隣でのバッティングの回避や、千葉・津田沼限定要素がより多く必要だと思います。
パルコ閉店1ヶ月前くらいから、吉野家グループのカレーうどんチェーン、千吉さんに連日長蛇の列ができていたことを考えると、飲食店さんのグループ形成の方が、地域を盛り上げるきっかけを作りやすいかもしれません。
奏の杜フォルテ
さらに津田沼駅前には、奏の杜フォルテという複合商業施設もあります。こちらは生活に密着したスーパーベルクさんを中心とした、大型のテナント企業さんなどが揃っている施設です。津田沼駅前にはこれだけ多くの商業施設があるので、これから津田沼駅周辺にお引越しなどをお考えの際は、まず買い物や飲食に困ることは絶対ないことがわかると思います。
津田沼は東の吉祥寺となるポテンシャルがある
津田沼の再開発に必要だと思うのは、津田沼駅と新津田沼駅、それから、少し離れている京成津田沼との往復バスを分かりやすく身近に利用できるようにして、通勤通学の利用者と近隣から1回の乗り換えを利用して津田沼を利用できる5駅〜15駅(JR総武線、総武快速、新京成線、京成本線、京成千原線、東西線、都営新宿線、京葉線、武蔵野線、東葉高速鉄道)を含め、車利用(船橋、幕張、八千代、鎌ヶ谷など各方面)を含めた新規集客に対するポテンシャルがどれだけあるかです。
その中で同じ中央・総武線の吉祥寺駅と環境的が似た雰囲気も感じます。津田沼も吉祥寺も東京駅まで約30分、それから吉祥寺は京王線明大前間の路線として京王井の頭線が通っています。これはJR津田沼駅から新津沼駅と松戸駅を繋ぐ新京成線に似た環境です。
また、長く地元地域にお住まいの方々や、学生さんが集まりやすい生活環境が整っている部分も似ています。バスの運行路線便の多さも、津田沼駅と似ている部分があります。
大きな違いは、井の頭公園の存在とエキナカのアトレ、そしてこれが地域事業には大きいですが、飲食と物販が連なる吉祥寺サンロードのアーケード商店街の存在です。〇〇通りと名称のあるストリート飲食街は、吉祥寺駅前に近隣駅からも若者からビジネスマンが集まりやすい魅力の一つです。
今後、船橋、習志野の地域全体の再開発以外に、地域の会社や店舗を気軽にプッシュしていける要素を、地域なりに再度模索する必要があると思います。千葉県でも船橋・習志野・市川・八千代・千葉・幕張・浦安・鎌ヶ谷・松戸・流山・柏は、県内でも東京隣接するポテンシャルの高い地域です。千葉都民とも言われるこの葛南・東葛地域は、人口も多く住み心地のいい魅力ある地域だと思いますので、今後の再開発を楽しみにしながら、地域の未来のために少しでもお役に立てればと思います。
末筆
海外にて各現地の一体感や、地域内に広がる業界の枠を超えたビジネスの繋がりを体感しました。そんな経験から、今後改めて世界に日本というブランド価値をアピールし、千葉や埼玉など首都圏全体への分散型事業モデルの再構築から、経済活動の幅を地域で深掘りしていける環境づくりが大事だと感じます。
海外から日本へ訪れる外国人からみれば、首都圏地域は全てが東京という認識もあります。成田空港、羽田空港、茨城空港に到着後、空港から目的地へ移動する1時間前後の地域は、東京という感覚の人も多いのです。グローバルな視点では、千葉県や首都圏の各県は全て東京であり、津田沼駅はそんな首都圏を代表する商業地域の一つでもあります。
津田沼駅前を利用する地域の皆様が考えるべきは、今後さらにデジタル依存の高まる時代における、地域と商業施設の存在価値です。また、デベロッパー様及びテナント企業様に関しても、考えるべきは高品質、低価格が必然と認知している国内消費者の思考です。
そう言った概念で捉えれば、どの時代でも選択肢を広げるのは人のイノベーションです。大量消費を前提とした大型の箱に集客する時代は、人口ピラミッドの変化とともに過ぎたように思えます。こうあるべきという既成概念や過去の踏襲に習うべきと言う流れに違和感のある世代に、消費モデルをマッチさせることが駅前に限らず鍵となることは明白です。
現在、インターネット利用者人口は概算で1億人を越え、スマートフォンが生活インフラの中心となりました。高齢者世代においても、ネットショッピングからポイントを貯め資産として保有する時代です。この流れをビジネスの軸と考えた時、選択を広げるチャンスが地域に到来しているのかもしれません。
津田沼駅前や周辺地域を支える事業者様をはじめ、行政機関や土地所有者様との連携で、地域の住民が津田沼で買い物しやすい回遊導線を構築し、津田沼駅を中心に周辺地域の再構築が進むことを期待しています。